日本インターンシップ学会

 

第34回研究会

テーマスタートアップ支援研究会(4)-実践研究の探究と質的研究セミナー
日時2025年2月22日(土)11:30~14:00
会場久留米大学福岡サテライトキャンパス
対面とオンライン(Zoom)の併用
企画趣旨職業統合的学習(Work Integrated Learning : WIL)の実践事例を研究につなげるプロセスとして、研究の入り口に立った会員への研究サポートを2021年から開始し、4回目となります。研究発表の練習を通じて、高良記念研究助成への応募、全国大会等での研究発表につながるスタートアップ支援としております。また、今回は、基調講演として、インタビュー調査等の質的研究法について吉本圭一会員から初学者向けに研究アプローチについてレクチャーいただきます。事例紹介から事例研究に、そして実践を相対化する研究とは何か、皆様と一緒に議論できれば幸いです。
プログラム司会・進行 江藤智佐子 会員(久留米大学 教授)
11:30〜11:40 開会挨拶・趣旨説明
       支部長 眞鍋 和博 会員(北九州市立大学 教授)
11:40〜12:30 スタートアップ発表
       「インターンシップにおける社会人基礎力自己評価の低下現象とその背景要因」
       新村拓也 会員(宮崎公立大学 特任准教授)
       コメンテーター 渡邊和明 会員(鹿児島大学 助教)
12:40〜13:40 基調講演 「質的研究セミナー(入門編)」
       会長 吉本 圭一 会員(滋慶医療科学大学・教授/九州大学・名誉教授) 13:40〜13:55 総括討論
13:55〜14:00 閉会挨拶
       副支部長 古賀正博 会員(九州インターンシップ推進協議会 専務理事)

2025年2月22日(土)に久留米大学福岡サテライトにおいて、第34回九州支部研究会を開催しました。スタートアップ支援は、「全国大会へGO!」を合言葉に、研究の入口に立った会員を支援するという目的で開催を始め、4回目となります。今回は、研究支援の一環として基調講演を行いました。研究アプローチという観点から、初学者向けの質的研究法について吉本圭一会員から講演いただきました。
支部長の眞鍋和博会員(北九州市立大学・教授)より開会挨拶と本研究会の趣旨説明がなされました。九州支部でのスタートアップ支援の取組みは、研究を始めて間もない会員への研究サポートとして、2021年から実施しており、発表練習を通じて、高良記念研究助成への応募、全国大会等での研究発表につなげる研究支援である旨が説明されました。

はじめに、新村拓也会員(宮崎公立大学・特任准教授)から「インターンシップにおける社会人基礎力自己評価の低下現象とその背景要因」と題し、宮崎公立大学でのインターンシップ科目の事例研究がなされました。インターンシップ後に一部の学生の社会人基礎力の自己評価が低下した現象について、量的・質的データの活用により具体的な要因を明らかにしようと研究を進めている段階であることが発表されました。続いてコメンテーターの渡邊和明会員(鹿児島大学・助教)からは、研究目的の明確化や先行研究のさらなる検討等、研究調査を進めていくうえでの具体的なフィードバックがなされました。フロアからも、学生による主観的な自己評価の捉え方についての質問やアドバイスがなされました。

後半の基調講演では、吉本 圭一 会員(滋慶医療科学大学・教授/九州大学・名誉教授)から「質的研究セミナー(入門編)」と題し、量的調査と質的調査の違いやインタビュー調査を軸とした質的研究法の手順や分析方法、倫理的配慮等について、事例を交えながら詳しく説明がなされました。インタビューデータは文脈を含めて全体を示す必要があること、解釈の妥当性を確認するために元データの提示が基本となることなど、データの取り扱いや分析アプローチについて丁寧な説明がなされました。人を対象とする研究方法では、近年、研究倫理が重要視されており、調査対象者への同意方法、個人情報保護、利益相反の開示などが不可欠であることが強調されました。

最後に、副支部長の古賀正博会員(九州インターンシップ推進協議会・専務理事)から閉会挨拶がなされ、参加者同士で学びを深め合い、研究成果を社会に還元できる場へと展開していくことへの期待と、槇本賞や高良記念研究助成を目指して欲しいとエールが送られました。 今回の研究会は非会員6名を含む26名(対面 15名+オンライン11名)の参加があり、終了後も会員同士で質的研究の具体的手法について意見交換が行われるなど充実した内容の研究会となりました。

(九州支部広報委員 桑畑夏生・宮崎大学)

開催要項はこちらをご覧ください: PDF版

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